
人が行き交い、歴史と自然が調和する「都祁」
都祁は大和高原の中央部に位置し、国道369号と名阪国道が縦横に走る交通の要衝。豊かな自然を残し、日常の中に、遺跡や文化風土を伝えるスポットが溶け込む稀有な場所です。
「つげ」の歴史は古く、その名称は日本最古の書物とされる『古事記』に見られます。古代国家「闘鶏国(つげこく)」、大化の改新後の「都祁郷」、斎宮の宿泊所としての「都介頓宮」など、時代と共に名称を変えながらも多くの人々が往来し栄えたことがわかっています。
上深川の「題目立」や「吐山の太鼓踊り」など、今も地域の人々によって愛着を持って実施される行事は、室町や江戸が起源と考えられ、その歴史的・文化的価値を認められ民俗文化財に登録されています。
きれいな水、冷涼な気候、昼夜の大きな寒暖差は、農業にも適しています。特に稲は、縄文時代より耕作していたと遺物から判明しており、粘りと甘みがあるモチモチとした「都祁米」は現代でも好評です。
先人の息吹を大切にしながら「今」を生きる町です。
4地区について
自然も町も!都祁暮らしの中心地
都介野岳(つげのだけ)
四季折々の風景が映える都介野岳は、円錐形の美しい単独峰。都祁盆地の各所から見えるその姿は、古来より「都祁富士」と親しまれています。標高は631.2mですが、周囲の標高が500m近くあり、高低差は100mほど。登山口は国津神社から南へ少し歩いたところで、看板があります。ルートは少々急ですが、丸太階段などで整備されています。山頂までは30分ほどで到着。 眺めて良し、登って良しの、都祁の象徴的な山です。
貝那木山(かいなぎやま)


都祁白石町にある、標高597.3mの山。整備された登山道は静かな林道で、20分ほどで山頂に到着します。山頂には、多田延実(1532~55年)が、都祁一帯を支配するために築城した貝那木山城の本丸址があり、碑が立てられています。西出丸付近では今なお残る井戸や石垣を見ることができ、二の丸跡には多田氏の供養塔があります。心地よいハイキングルートとなり、頂上からは都祁の田園風景が眺められます。
針テラス


500台以上収容可能な駐車場のある、西日本最大級の道の駅。名阪国道と国道369号が交差する場所にあり、ドライブ中の休憩地にピッタリです。食事はもちろん、都祁のきれいな空気と水で育った生鮮野菜や加工品、特産品が購入できる「つげの畑 高原屋」も人気です。ゆったり疲れをいやすなら天然温泉「はり温泉ランド」もおすすめ。「針テラス情報館」で道路や観光の情報を入手しておでかけください。
日常のとなりに歴史の舞台がある町
並松池の夕陽
都祁の郷には、夕日や夕焼けが美しく見えるスポットがたくさんあります。都祁友田町と藺生町の境にある並松池は、中でもおすすめのポイント。都祁の広い空が真っ赤に染まる日は、それが池に映って幻想的な絶景となります。刻々と変わる空の色と、それを反射し続ける池面は、まるで絵画のよう。
並松池以外にも、特に秋は、刈り取り直前の稲穂やススキが黄金色に輝く様子が田園のあちこちで見られ、美しさに足を止めたくなります。
三陵墓古墳群
【奈良県指定史跡】


都祁盆地周辺には100基を超える古墳があります。当古墳群は古墳時代中期の作とされ、特に東古墳は墳丘長が110mもあり、大和高原・宇陀郡内最大級の前方後円墳です。墳丘斜面には葺石が施され、3段づくりの後円部と墳頂部には埴輪が立てて並べられています。西古墳は直径40m、南古墳は直径16mの円墳です。被葬者は不明ですが、『古事記』『日本書紀』には「都祁直」「闘鶏国造」とあり、有力支配者だと考えられています。
都祁水分神社(つげみくまりじんじゃ)



大和国水分四社(都祁・宇陀・吉野・葛城)のうちの一社で、飛鳥時代の創祀と伝承され、速秋津彦神・天水分神・国水分神が祭られています。社地は、聖武天皇の行幸された堀越頓宮と伝えられ、平安時代には伊勢齋宮皇女がいらした都介頓宮跡でもあります。現在の本殿は、瑞垣(みずがき)を巡らせた桧皮葺の総丹塗り。室町時代中期(明応8年・1499年)の建立の一間舎春日造の社殿は貴重で、国の重要文化財に指定されています。
吐山の森には冒険と発見がいっぱい!
吐山の太鼓踊り
【県指定無形民俗文化財】


元々は雨乞いや豊年祈願の満願御礼のために奉納されてきました。古くから地域の大切な民俗芸能として継承されており、元禄6年や文化4年の踊歌本が残っています。現在は下部神社の秋祭りにて実施されており、城福寺・田町・長野・中南・小川口・清水・大夫の7垣内から各1張の大太鼓が出演。幟を先頭に辻で踊りながら神社に向かい、神社にて「干田踊」と、「松虫踊」「宝踊」「長崎踊」「鎌倉踊」「糸屋踊」から2曲を踊ります。
吐山スズラン群落(都祁の花)
【国指定天然記念物】


スズランはユリ科の多年生草木で、本来の自生域は本州中北部の高山や北海道。吐山は海抜500~600mに位置して夏季でも涼しく、クヌギやコナラなどの落葉広葉樹が地表への日光を適度に遮るため、スズランの生育に適しており、群落ができたと考えられています。昭和5年には、スズランが自然分布する南限の地として国の天然記念物に指定されました。開花は5月の初旬~中旬。大きな葉に囲まれて咲く、可憐な白い花が見られます。
奈良県立野外活動センター


豊かな森の中で自炊やキャンプファイヤー、バーベキュー、アスレチック、オリエンテーリング、テント泊などが体験できる施設です。家族や団体で施設を利用するのはもちろん、「NARA森あそびフェスタ」や「サバイバルおにごっこ」などの主催事業に参加するのも楽しそう。蛇も虫もいる、まさに大自然の中での活動は、子ども達の生きる力を磨くことでしょう。宿泊、自炊を伴う日帰り利用、主催事業への参加などには予約が必要です。
唯一無二の民族芸能を伝承する郷
題目立
【国指定重要無形民俗文化財】
【ユネスコ無形文化遺産】
「題目立」は、上深川町八柱神社の伝統的な祭祀組織である「宮座」にのみ伝承されている民族芸能です。登場人物ごとに台詞を分担して、独特の抑揚で語ります。台本は「厳島」「大仏供養」「石橋山」の3詞章。室町時代にはすで存在していたとされ、中世の「語り」芸能を今に伝えています。毎年秋祭りの宵宮に、その年に宮座入りした17歳の青年たちが中心となって奉納するため成人儀礼の一面もあり、地域の支えで上演が継続しています。
針ヶ別所の鯉のぼり
名阪国道針インターから国道369号を北へ車で3分ほどのところに針ヶ別所町があります。6月中旬に豊作を祈る伝統行事「田の虫送り」が今なお残され、蛍にも出会える地域です。玄関口となる上戸ヶ橋周辺では、毎年春になると鯉のぼりと菜の花が迎えてくれます。地域住民のみなさんで花畑をつくり、夏はひまわり畑が広がります。国道369号を走るバイカーやドライバーの癒しのスポットとなっています。
春日神社
【奈良市指定文化財 建造物】
【都祁村指定文化財】



下深川庄下司深川氏が勧請したと伝えられ、康正3年(1457年)に深川氏が坊人となっています。御祭神は、天児屋根命、武甕槌命、経津主命、比売神。毬や小さい狛犬に手を置く、変わった狛犬がいます。拝殿(舞台)は、奈良市東部地域に分布する茅葺の舞台形式建物の一例および神社拝殿建築の典型例として価値が高く、都祁村指定文化財、奈良市指定文化財に登録されました。保存状態も良く、素朴な拝殿の姿をよく留めているとされています。

行事・イベント

スポット

特産品
